未経験の転職で資格取得は必ずしも必要ではない

転職

この記事を書くきっかけ、理由

人材派遣会社で求職者対応をしていたころ、
「〇〇の資格を取ってきたので〇〇の仕事紹介してください」
「ずっと〇〇の仕事に憧れて頑張って資格を取りました」
と目指す仕事に就くために資格取得を目指す人が多かったです。私も未経験からWEBデザインの仕事を目指すために専門学校へ通い関連しそうな資格を調べたりしていました。

ですが、自身の転職活動や求職者対応を振り返ってみると、実際のところ多くの企業は資格の有無よりも実務経験や実績を大事にしています。弁護士や医師の様に資格が必須の職業や介護職のように資格の有無で出来る業務が制限されるものもありますが、基本的に資格さえあれば転職できるというわけではありません。

私は資格なし、専門学校卒業見込み、実務経験無しの完全な未経験でWEBデザインの仕事へ転職しました。もちろんすんなり転職できたわけではなく、4社落ち5社目にアピール方法を変え成功しました。この実体験と、求職者対応の中で未経験から他の実務経験のあるライバルに勝って内定となった方々の共通点をお伝えすることで、未経験転職に悩んでいるあなたに資格は必ずしも必須ではないこと、もっと他に必要なことがあることをお伝えしたいと思います。

大前提として、資格取得を目指すのがダメではありません。大事なのは何のために資格を取るのかです。資格取得がゴールではありません。

この記事を読んでわかること

  • 未経験転職に資格が必須ではないことがわかる
  • 未経験転職での自己PR方法がわかる
  • 未経験転職で効果的な資格のアピール方法がわかる
  • 資格取得が自分にとって必要かがわかる
  • 資格取得を目指すときの効果的な心構えがわかる

資格よりも中途採用では即戦力が必須

まず、この記事を読んで頂いているということは、あなたは資格を取得することで未経験での転職に有利だとお考えになっていて、新卒ではなく社会人としてある程度経験を積まれている。もしくは、ブランクを経て仕事をしたいという状態だと思います。

ここでどんな資格を選ぶよりも重要なのは、企業があなたを採用する際に何を求め、何を期待しているのかを理解することです。

基本的に中途採用求人で企業が求めるのは即戦力です。社会人経験のない新卒や知識やスキルのない人材を1から教育する手間やコストを省き、すぐにでも目の前の業務に取り掛かってもらいたいのです。

資格の有無では伝わらない企業の求める即戦力とは

即戦力と聞いて何を思い浮かべますか?
「従事する業務の専門スキルや知識」これも即戦力ですが、ただ単にスキルや知識だけではありません。募集求人の業務を問題なくこなせる力があるのかを重要視しています。


例えば、ECサイトのWEBデザインのお仕事だったとします。
企業は「この商品を〇日までにUPして」とすぐにでも独り立ちさせ依頼したいわけです。
もちろん事前に会社独自のルールや手順、分担範囲の説明などはあると思いますが、実務経験が無いと作業レベルの把握ができず、本当にうちの業務を求めるレベルで行ってくれるのかの判断が出来ません。この力を見定めるために、専門スキルや知識を使って実際に業務としてアウトプットした経験があるのかを企業は知りたいのです。あなた自身も、実際の業務のイメージが付かず想定以上の作業に驚くことになり、入社したもののイメージと違いすぎた…ということも起きかねません。

私のケースだと実務経験はあったものの1人作業からチーム作業の会社に転職した為、初心者レベルの上にチームでの作業イメージが全く出来ておらず全ての課題にぶつかり、その度先輩や上司に迷惑をかけスパルタ教育を受ける日々を過ごしました…(感謝)

「商品撮影に時間がかかりすぎて必要画像の撮影が間に合わない」
「このモールのシステムわからない」
「商品ページ説明が浮かばない上に文言が良くないとリテイク」
「商品の色補正や背景の白飛ばしが中々合格が貰えず色補正で1日が終わる」
「他メンバーも関わっていてCSSのどこがおかしいのか修正するファイルもうわからない」
「Javaスクリプトは触ったことが無いどうしよう…」
「作業スピードが全然間に合わない」
「編集ファイルの格納場所、やファイル管理やレイヤー整理がうまくできない」

などなど…作業環境や会社規模によって任される範囲やレベルが全く違いますし、それぞれの企業でルールも違います。入社1ヶ月でチームからブーイングが上がったのは言うまでもありません。今となっては良い思い出…(笑) むしろスキルアップになって本当に感謝してるし今でもたまに会社へ遊びに行ける関係。

他の業種の場合であっても、初期教育を最低限に抑えたいための中途採用なので、求める人材のレベルは未経験よりも高いのが普通です。では、未経験からの転職は無理なのかというとそうでもありません。

未経験は資格と制作実績でアピールする

企業によって求める人材のレベルは様々です。プロレベルの募集から初期教育をある程度覚悟したうえで長く勤めてくれる人を雇いたい人柄重視の企業もあります。

そういった企業や人気の業種業界の求人の倍率は必然と高くなりますよね。そんなライバル多数な中で、単純に資格を取りましたレベルの未経験者の応募は当然瞬殺です。

ここで、私が最もお伝えしたい「何の為に資格を取るか」ですが、実務経験が無い未経験者が実務経験者と同じフィールドで戦う場合、企業への判断材料として必要最低限の知識が一定量あるという客観的証明である資格は有効です。ですが、今までお話ししてきた通り資格だけでは足りません。実際の業務を想定した実績を自分で用意しておくことで、企業にあなたが実際にどれだけ業務をこなせるかの判断材料を提供することが可能です。仕事をするうえで大切な「相手の求めることを把握し応える」という視点を持っているアピールにもなりますね。

制作物作成のポイント

CADやWEBデザイナーなど制作物を用意できる職種であれば、募集業務に合った制作物、LPやバナー、住宅の図面などを「依頼内容」「制作時間」「意識したポイント」などを記載したポートフォリオを作ると良いですし、デザイナーの場合は提出が必須な場合が多いです。ポイントは募集業務の制作物を用意することです。LPサイト制作の募集なのにバナーデザインやキャラクターデザインの制作物ばかりを提示しては企業側からしたら判断材料にはなりませんね。

接客業務から企画事務への転職で、関数を駆使したExcel家計簿やPowerPointで架空のプレゼン資料を作成し履歴書と共に提出し就職に至った方もいました。

ポイントは書類選考で落とされないように履歴書と共に提出する!ということです。その際に「未経験の為実務を意識した制作物の資料を追加提出させて頂きます。お手数ですがご確認いただけますと幸いです。」と一言添えると丁寧かと思います。

未経験でWEBデザイナーになった話

当時の私の状況

当時の私は25歳、全くの初心者で企業で一般事務の仕事をしながら、週に1日(日曜日)に専門学校でグラフィックデザイン(WEBデザインのクラスが無かったので)のクラスに通いPhotoshopやIllustratorの基本的な使い方やデザイン理論、印刷物の作り方などの知識を学んでいました。WEBに関しては市販のテキストや知識者のWEBサイトを見てのほぼ独学でした。

そんな状態で制作物もなく堂々と4社受け「もう少し勉強してからチャレンジしてね」「実務経験は最低2年必要です」などでほぼ書類選考で全滅でした。企業の求める人物像を認識できておらず数内当たる精神だったので当然ですよね。

求人選びで気を付けたこと

正社員求人は求められる条件やレベルが高く私には難しかったので、正社員求人以外で企業規模にもこだわらず、時給や業務内容が納得できそうな求人を探しました。気になる企業はHPを確認して事業内容もチェック。デザイン専門の企業ではなく事業の延長でデザイナー募集している場合は学ぶ体制はないけど現場で自力で学びながら解決すると腹を括れば入りやすいところもあります。

<当時(2012年ごろ)に選んだ求人>
・アルバイト雇用
・時給1000円
・WEBデザイン業務と他業務が6:4くらい
・他業務:電話メールでの問い合わせ対応や商品発送などのショップ運営
     アパレルの展示会準備
・交通費一部支給
・通勤時間片道1時間
・成果に応じて正社員登用の可能性あり
・アパレル卸会社でECサイトの担当者募集

何を重視するかはそれぞれですし、地域やその時の社会の状況に
よっても変わるのであくまで参考情報として見てくださいね。

履歴書の書き方

履歴書のフォーマット

市販の手書きの履歴書を使用しても良いですが、「履歴書 テンプレート」と検索すれば様々なフォーマットがあり、志望動機を強調できるものもあります。Excel、Word、PDF形式で基本的に無料でダウンロードできるのでお勧めです。手書きが丁寧な印象を与えることもありますが、読みやすければ手書きにこだわらなくても大丈夫です。私は社会人になってからずっとExcel形式で作ってA4で出力もしくはメールに添付して提出しています。

志望動機や得意なこと

WEBデザインの職に興味を持ち、現在働きながら毎週日曜日に専門学校で必要なスキルを学んでいます。印刷会社への入稿データの作成もできますので、IllustratorやPhotoshopを使って御社の商品ページ作成や印刷物の制作でお力になれるかと思います。課題や興味のある事には積極的に解決方法や詳細を調べ知識を増やすことが好きなので、御社での業務を通じてWEBデザイナーとして成長できればと思っています。

過去の私の履歴書より

履歴書の右ページにはだいたい志望動機や得意についてアピールできる欄があります。ここを程よく読みやすい量でしっかり書くことが大事です。私は「業務外でスキルの習得できる環境がある」「自分が業務にどの様に貢献できるか」「足りないスキルや経験も自主的に解決しようとするスタンス」という部分をアピールしました。その結果、単純に専門学校通っている実務経験無しという情報で応募し落ちた4社に対して、今回はすぐに電話で面接日程の案内を頂きました。

面接で気を付けたこと

面接では社長とその後上司になるWEB担当者が同席してくださり、どの程度のスキルがあるのかの具体的な確認と細かな業務内容の説明、会社や事業の説明がありました。

面接に挑むにあたって、少しでも客観的にアピールできるように専門学校の提出課題で作ったものを多少ブラッシュアップして用意しました。といっても、ポートフォリオを作る余裕もなく、課題で制作した名刺の入稿データのスクリーンショットと名刺デザイン画像、ポスターデザインの画像をスマホに入れて持って行っただけです。

面接では、スマホの画面を見せながら制作時間と使ったツールについて短めに説明をしました。ECサイトの業務は初めてだが、ネットショッピングをよく利用することや過去にアパレルの販売経験(短期のアルバイト)があるので顧客目線で商品の紹介ができることをアピールしました。業務の未経験を過去の経験でカバーできるようにアピールすることを意識しました。

面接は緊張しますよね。「言いたいことが飛んでしまってうまくアピールできなかった…」なんてこともあるかと思います。そのためにも、ポートフォリオやスマホにデータを入れておくなど、伝えたいことのヒントを仕込んでおくと安心です。最近だとCanvaなどのツールでちょっとしたスライドを用意して、3分程度のプレゼン感覚でアピールしても面白いですね。このあたりは、得手不得手があるかと思いますし、ボリュームが多いと聞き手はおなか一杯になってしまうので匙加減は大切です。

最終候補3人から選ばれた理由

後日聞いた話、応募は未経験者や経験者含め10名ほどの応募があり、その内同年代と年上の経験者と私の3人が最終候補になったそうです。私に決めてくださった理由は、上司が基本的に本来の営業業務に出るため常にサポートはできない環境なので、わからないことがあった時に自主的に周りに聞いたり、自分で解決しようという積極性がある。他メンバー(40代以上)の職場にも馴染めそうな印象があった。ECサイト運営の他にも展示会の案内パンフレットなどの印刷物もお願いできる。と教えていただきました。

この企業の求める即戦力は、デザインツールの基本的な操作スキル自主的に業務に取り組む力で、求める人物像が一緒に働きやすい人柄だったんだと思います。どの転職活等や就職活動にも言えることですが、あなたとマッチする求人選びとその募集ニーズに合ったアプローチが出来れば成功すると思います。

資格を取る目的と本当に資格が必要なのか

資格は必要最低限の知識が一定量あるという客観的証明だとお伝えしましたが、ここまで読んで頂いた上であなたに本当に必要なのか考えてみてください。

資格取得のための勉強時間と労力
受験費用
受験から合否までの時間
制作物の作成

人によっては現職との両立が必要な場合もありますし、資格を取ったタイミングで求人があるかどうかはわかりません。長期に時間が確保できるのであれば、是非知識やスキルの勉強を兼ねて資格取得を目指されるといいと思います。ですがそうゆっくりと時間を取れない場合は、資格を取ることにこだわらず知識やスキルの勉強をしながら制作実績の作成に時間を割いた方が有意義だと思います。

転職での年代別のアピール方法とアドバイス

転職で避けては通れないが年齢の問題です。法律で年齢や性別を条件にした採用活動を行ってはいけないと定められてはいるものの、求人の背景には企業の抱える問題が付き物です。単純に働き手が欲しいだけで求人は出されていません。

・定年まで後わずかではなく長く働いてほしい
・社内の平均年齢を下げたい
・提供するサービスのターゲットに近い年齢層を集めたい
・一緒に働く上司より年下や同年代を雇いたい

求人対応をしていた経験上、雇用形態や業務経験の有無は関係無くこういった理由から40代以上の内定は非常に厳しい現状があります。それでも、どうしても希望する職や業界に転職したいという方々は多くいらっしゃいます。

正直求人はタイミング次第です。厳しいだろうと思っていた方を是非!という企業が現れたり、20代だから引手数多だろうと思っていた方が中々決まらないことはよくあります。なので絶対にこうしたアピールをすれば大丈夫というものではありませんが、参考にはなると思います。

全年齢共通 言ってしまいがちなNGワード

中途採用で頑張りますはNG

「頑張ります」ではなく「〇〇が出来ます」「力になれます」が効果的です。
これ割と自分を鼓舞するためにも言ってしまいがちですよね。かくいう私も中途採用で入社した企業の懇親会で社長の「期待しているよ」に対して「頑張ります!」と元気よく答えたら「中途入社に頑張るとかの精神論は求めていない、結果を出せ」とまじめなトーンで言われてしまい落ち込みました(笑)社会人や人生経験を積んだ私たちは、まっさらな新卒とは違った様々な引き出しを持った魅力がありますので、是非あなただからこその武器を売りに自己アピールしてくださいね。

〇〇のせいで退職しました

退職理由を聞かれることが多いと思います。職場でのセクハラやパワハラで退職に至った場合もあるかと思います。耐え切れず退職を選び企業には不信感があるかとも思いますが、その場合でも履歴書や職務経歴書には「一身上の都合」と記載しましょう。自身が職場環境が気になる場合や面接の場で詳しく聞かれた場合に、口頭でさらっとお話しするのは問題ありませんが、わざわざ文字でアピールしてしまうと、他責傾向の強い方という印象を与えかねません。辛い思いから一歩踏み出したあなたのイメージが悪くなっては意味がありません。

18歳~30代前半の未経験転職

「長期勤続によるキャリア形成」の求人がねらい目です。
基本的に年齢を条件に採用活動はできませんが例外があります。それが「長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合」(3号のイ)です。よく見かけるのが、35歳未満の方までの募集ですが若年者等が必ずしも35歳未満に限られるわけではありません。

30代後半の未経験転職

社会人としての前職の経験が活きます。
直接的に転職したい業務や業界に役立てることが出来なくとも、それまで培った経験やスキル、特に対人スキルや問題解決スキルは強みになると思います。職務経歴書の書き方を調べながら具体的なエピソードと共にアピールしてみてください。もちろん、ブランクがあったり勤務経験が少ない方も、これまでの生活や求職活動の中で得た経験でアピールできることはあると思います。

40代の未経験転職

長く1つの企業にお勤めでいらっしゃるとすれば粘り強さのアピールにもなります。
企業は転職回数を気にすることが多いです。なので勤続年数が長いのは強みですし、そこでの多くの経験はアピール材料となるはずです。転職経験者は適切に退職理由を説明できれば問題ありません。配属先メンバーの年齢が低い場合は、年齢に関係なく先輩や上司の指示や指摘を素直に聞けるかを見られることが多いので、柔軟に素直な対応が出来るのであればアピールポイントになります。

50代の未経験転職

正直中々転職が難しい年齢になってきます。なので、なぜ今その業界や業種へ転職したいと至ったのかのエピソードをしっかりと履歴書や面接でお伝えし、社会人や人生経験を活かした目線での制作実績の作成が必要となると思います。40代同様に年齢に関係なく先輩や上司の指示や指摘を素直に聞けるかを見られることが多いと思います。今までのやり方などにこだわらず新しいツールにも柔軟に対応できるかもアピールできると良いです。

60代以上の未経験転職

多くの企業は定年が60歳です。なので正直大変厳しいです。
それでも60代以上、私の経験では最長で88歳の方からの応募や問い合わせを受けてきました。
そこでご案内しているのが、ハローワーク求人のご確認とシルバー人材を扱っている会社への問い合わせです。希望する職種や業種への内定は難しいかもしれませんが、長年従事されてきた仕事の知識や経験が重宝され内定するケースも実際にありました。
また、年金とプラスアルファの為に個人で活動される方も増えています。WEBやSNSなど新しい事に挑戦するのが苦手でなければ、是非個人で活動されることを検討されてみるのも良いかもしれません。

まとめ

資格は、必要な知識やスキルを持っていると客観的に証明できるものであり、知識やスキルの習得に便利なツールである。

しかし、企業が中途採用に求めるのは、「即戦力」であるため、未経験でも実務経験のあるライバルと同じ土俵で戦うには、企業に「役立てる力」があると判断してもらうための情報の提供です。そのために実業務を意識した制作実績が必須となります。

資格があれば未経験でも転職に有利なのかについては、全く有利ではないと私は結論付けます。企業ではなく個人で活動される場合は、資格は肩書として良いアピールになるかと思います。

このブログを読んで頂いた方には、闇雲に資格を取るのではなく何のために資格取得をしたいのか、本当にその資格は自分に必要なのかを考えて有意義な資格の勉強をして頂ければと思います。この記事が少しでも、転職や資格取得に悩んでいるあなたのお力になれば幸いです。

タイトルとURLをコピーしました